終身雇用制度が徐々に変化を見始め、中途採用市場が活性化されたのは90年代ごろから。派遣や契約社員などの雇用形態が多く見られたのもこの頃からです。
さらに、ここ数年より中途採用市場が活性化するとともに、「新卒採用ってどうなの?」という視点から今回は考えてみたいと思います。
新卒採用と中途採用の違い
中途採用 | 新卒採用 | |
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人材イメージ | 即戦力(職種別採用) | ポテンシャル(研修後配属) |
目的 |
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時期 | 通年 | 4月入社 ※一部9月入社もあり |
準備・選考期間 | 数週間程度 | 1年以上 |
コスト | 比較的安い | 比較的高い ※一定数以上を採用すると1人あたりは安くなる場合もある |
メリット |
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デメリット |
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出典:日本の人事部
一口に中途採用と言っても、パートや契約社員と正社員とでは、求められている役割が違いますが、ここでは正社員を前提にすると、「教育機関が必要なく、即戦力として利益貢献できる人材の採用」という風にとらえられます。
新卒採用は大手、中堅企業など、比較的企業規模が大きかったり、事業基盤が安定的な企業が行うイメージがあったり、ベンチャーや中小企業には不利ではないか、という考えがあります。しかし、ベンチャーや中小企業でも、魅力的な事業やユニークな企業には、学生が働きたいと思う動機になり、
近年は中小やベンチャー企業の新卒採用も活発化しています。
新卒採用って必要なの?
中途採用を行っているのに、なぜ新卒採用が必要なのか?
ビジネス環境は激変した。年収500万円で採用した経験者が最初のうちはその年収に見合う仕事をしてくれたとしても、3年後にその業務が500万円払う価値がなくなっているケースもある。その時、配置転換して違う業務で年収500万円分に見合う仕事ができるかというと、そうはならない。その人間は過去の経験とスキルを活かして仕事をしていただけで、他業務をこなす能力を身に付けていないからだ。つまり賞味期限切れ。
HRプロ 【書評】即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事
中途採用がかなり難しい、というのが伝わってくる書評です。確かに、人事担当者にとって、「採用した人材が売り上げを生み出すかどうか」はとても大きな職責でしょう。
では、新卒採用は何のためにするのでしょうか?
1. 均質な若年労働力の確保
日本の新卒者は、3月に大学を卒業し、4月から働きはじめるというパターンが定着している。そのため、新卒採用を行うことで、年齢・学歴・社会経験などの面でほぼ均質な人材を、同時期にまとめて迎え入れることができる。採用、受け入れ手続き、教育などを一括して実施できるため、一人当たりのコストダウンも図れる。
2. コア人材、リーダー候補の確保
将来、企業の中核を担い、経営の中心となるような優秀層の人材を中途採用で獲得することは非常に難しい。ポテンシャルの高い新卒者を採用し、社内で育成する方が確実性は高いと考えられる。
3. 組織の活性化・強化
若い新卒社員が入ってくることで、組織全体がリフレッシュする。既存社員は、新入社員に教えることで経験を言語化し、自らも成長できる。また、「同期」という横のつながりを持つ新卒は、縦割りの組織に横糸を通すことができる。部門間の連携などで重要な役割を果たす可能性がある。
4. 企業文化の継承
特定の企業カラーに染まっていない新卒は、自社の風土になじみやすく、伝えていきたい企業文化の担い手としては最適である。バブル崩壊後の数年間、新卒採用を極端に抑制していた企業では、その後ベテランと若手をつなぐ中堅層の薄さに悩まされる例が見られた。そのため、新卒を毎年定期的に採用し、年代別の組織構成を維持していく意味を見直す企業が増えている。
5. 採用活動が企業広報にもなる
中途採用に比べ、新卒採用の場合は母集団を大きく取るのが一般的である。メディアや会社説明会などを通じて、企業の生の姿を広く告知することになり、将来の顧客や事業パートナー、(中途採用で入社する)従業員を生み出すPR活動ともなる。
この中で、2、3、4が重要なポイントとなります。中途採用でもコア人材、リーダー候補の確保としての採用もありますが、長期的な企業文化を踏まえてリーダーとなるのはなかなか難しいと思われます。
また、若い人材が入ってくることによって教育などの機会が増えることにより、事業ノウハウの活性化や暗黙知・形式知化されるでしょう。
企業文化は変化し続けると言っても、コアな部分やともに育てていく同期が居てこそ、成長するのではないのでしょうか。
新卒採用はどこを見る?
新卒採用をする際に、どこをポイントにすれば良いのでしょうか?
経営戦略から考える
人事戦略は経営戦略の重要な要です。経営戦略をもとにどんな人材が必要かが明確になり、採用戦略へとプランをたてます。いつ、どの時点で、どれくらい、どのような人材が必要かを、経営チームとしっかりとつかんでおくことはとても大切です。
また、現在の人材がどのような構成か、理想の人材構成とずれがあるのかなどの「棚卸し」は常にしておきましょう。
採用活動でのポイント
スタート時には大まかな採用予定数で、「ざっくりと」考えておくのが良いでしょう。あまりにもきっちり決めすぎると、予定が間に合わない場合に焦ることになってしまいます。予算は限られますので、スケジュールとともにコントロールすることが採用担当の腕の見せ所です。
採用ツール、合同セミナー、自社セミナーなどの予算化が、この時点で見えてきます。
採用のタイミングも、夏採用・秋採用・通年採用など、自社のニーズに合わせてスケジュール変更をしていくことも重要です。
オファー型は、人事戦略に合わせて新卒採用できる
エントリー型はどんな学生が応募してくるかの予想を立てるのは、かなり難しいと思われます。よほど大手企業で引く手数多な状態であれば、質の高い人材の確保に難しくないかもしれませんが、ここ数年は採用意欲が高まっていること、学生側の思考が大手思考だけではなくなっていることなどを考えると、「より良い人材を確保したい」と考えるならば、他の方法で学生とコンタクトをとることも考えねばなりません。
Offer Boxシリーズは学生に企業がオファーできるオファー型で、大手企業から中小・ベンチャー企業まで「お気に入りの学生を狙ってオファーできる」メリットを感じていただいています。