i-plugの代表取締役 CEOの中野さんに会社や価値観など、気になるあれこれを質問するシリーズ「中野さん!ちょっと教えてください」。第9弾は、OfferBoxが誕生するまでの話や、OfferBoxに込めた思いなどを聞きました。
株式会社i-plug
中野智哉代表取締役 CEO
1978年兵庫県生まれ。 2001年中京大学経営学部経営学科卒業。
2012年グロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻修了(MBA)。
株式会社インテリジェンス(現パーソルグループ)で10年間求人広告市場で法人営業を経験。 2012年4月18日に株式会社i-plugを設立し、代表取締役CEOに就任。
「我が子のために」という創業メンバー共通の想いから生まれたサービス
i-plugはグロービス経営大学院時代の同期2人(※)と立ち上げました。各々が違う経歴と経験を持つ3人が集って挑んだ起業でしたが、共通した想いが1つありました。3人全員の「我が子のために」という想いです。学生の課題、ビジネスの課題など、さまざまな場面での課題を洗い出しましたが、どれもしっくりきませんでした。
そんななか、たどり着いたのは「自分たちの子供が大学生になった時に、学ぶことが楽しいと思える環境があってほしい」という考えでした。私自身、学生時代の学びに対して意欲はなく楽しいと感じず。一方で、社会人を経て起業のために学ぶことがすごく楽しかったのです。だからこそ、学生時代に学ぶことが楽しい環境を提供したいと思いました。
はじめに構想したビジネスは大学生向けのSNSでした。コンセプトは「大学生活をより良いものに」。構想が決まったら、ユーザーへのインタビューを開始し、多くの大学生と話しました。インタビューのなかで最も多かったのは「就職活動が大変」という話だったのです。同時に、学生向けのSNSを運営する難しさを感じていた時期でもありました。だから、ビジネスの構想を練り直しました。大学生活を良くする以前に、目の前にある大きな課題の「就職活動」をどうにかすべきだと考え、新卒の人材紹介事業を開始することにしたのです。しかし、そんなうまくはいかないものですね。収益の見込みも、成長する見込みも立たず、わずか20日で人材紹介事業から撤退しました。
そこから、再度事業の練り直しです。起業する際にプラットフォームビジネスを勉強していたこと、学生向けSNSを構想するにあたってコミュニティのあり方を勉強していたこと、前職の経験から人材業界に詳しかったこと。この3つの経験が活かされて、OfferBoxのビジネス構想に辿り着きました。
※創業メンバーのインタビュー記事
「ここからが正念場であり勝負時。i-plugの創業者3名に創業時や展望についてインタビューしました」
最適なマッチングを生み出したい
OfferBoxの特徴の一つに「オファー数の制限」があります。これは、学生向けSNSのビジネスモデルを考えていた際に、コミュニティのあり方やコミュニケーションについて学んでいたことから生まれた特徴です。また情報の流通量が多いなかで、適切なマッチングを生み出すためには、意味のあるデータベースを作る必要があります。たとえば、オファー数の制限がない場合、企業は登録学生全員にオファーを送ることができます。しかし、企業が会いたい学生のなかから、マッチングしやすい学生の属性を正しく取ることができない状態になります。このように、蓄積されたデータが意味のないものになることを避けたかったのです。
「学生のことをできる限り多く知りたい」という思いで生まれた自由に書けるプロフィール
OfferBoxのビジネスモデルを決めた後、学生と企業にヒアリングをしました。学生からは、「企業からオファーもらえるのは嬉しい」「自分の知らない企業を知るので視野が広がる」といった声がありました。企業からも同様に良い意見がありました。
そのなかで、予想外だったのはプロフィールに関してです。大学時代以外の高校生活、幼少期などの話も知りたいし、聞いてほしいという声でした。価値観を形成する時期は、大学時代にとどまりません。だからこそ、企業も学生もお互いが「欲しい」と思っていたのです。なので、OfferBoxのプロフィールは資格や専攻などの「基本情報」や「自己PR」などの一般的なものだけではありません。「過去のエピソード(400字)」を3エピソード書く項目や、「私の将来像」など多くのことを書く項目があります。また「自分を象徴する画像」を追加でき、文字以外で自分を表現する方法も用意しています。表現できる項目を多くしたのは、学生と企業からの声があったからこそです。
学生と企業の両方が真剣に価値観を知ろうとする世界に
企業から学生を探す「オファー型」、学生から企業を探す「エントリー型」どちらも最大限に活かすことが、お互いの視野を広げる方法だと思います。「就職しないといけないからエントリーしよう」「人を増やさないといけないからオファーを送ろう」ではなく、ともに働く仲間を探すための就活であってほしいです。学生と企業が互いに真剣に価値観を知ろうとする世界にしなければなりません。OfferBoxが率先して、そんな世界を作っていけたらと思っています。
実際、OfferBoxのリリース後、多くの企業が想いに共感してサービスを導入してくれました。まだ無名のi-plugという企業が作った、誰も使ったことがない「OfferBox」。そんなサービスの企業登録数は、累計で18,000社を超えています(2024年6月末時点)。これからも同じ想いをもった企業たちと、就職活動市場をより良いものにしていきたいです。