i-connectとは
#16 AIに「使われる」か「使いこなす」か。人間だからこそ生み出せる「真の価値」 / シリーズ: 中野さん!ちょっと教えてください

カルチャー・制度

#16 AIに「使われる」か「使いこなす」か。人間だからこそ生み出せる「真の価値」 / シリーズ: 中野さん!ちょっと教えてください

  • #CEO

SHARE

i-plugの代表取締役 CEO中野さんに会社や働き方など、気になるあれこれを質問するシリーズ「中野さん!ちょっと教えてください」。第16弾は、「生成AIとの向き合い方」についてまとめました。

i-plugに根付く「徹底的に使い倒す」カルチャー

i-plugには、新しいツールを導入すれば徹底的に使い倒し、組織全体へ早く浸透させるというカルチャーがあります。具体的には、スプレッドシートによる徹底した管理や、Google Apps Script(GAS)を用いたデータの自動転送やグラフ化などは、多くの社員が使いこなしています。今期、経営における重要テーマの一つに「生成AIの活用促進」を掲げました。開発や営業といった各部門はもちろん、コーポレート部門でもAI推進チームを立ち上げるなど、全社を挙げてAIの活用を強化しています。直近の1年で、社内のAI活用は浸透してきたと実感しています。

AIの進化に感じた「危機感」

一方で、年末年始にAIを使って資料作成を行ったときに、私は危機感を抱きました。AIの性能が上がったこと以上に、「AIのアウトプットの説得力」が増したことに衝撃を受けたのです。たとえば、ある分析を行うために、膨大なデータをGeminiに学習させてスライド構成を作成させた時のことです。デザインも含めて説得力のある「それらしい」資料が1〜2分で生成されたのです。これまで2〜3時間かかっていた作業が、指示と確認作業を含めて30分ほどに短縮されました。

効率化自体は歓迎すべきことです。しかし、大きな落とし穴も潜んでいると思っています。 AIが生成する資料は、デザインが洗練されていて、テキストの誤字脱字もほとんどありません。そうなると、私たちは無意識に違和感を抱きにくくなり、「これが正解だ」と鵜呑みにしやすくなってしまうのです。

たとえば、事業の戦略立案についてAIに壁打ちさせたときのことです。AIは「フライホイールモデル」をベースにした提案をしてきました。 もし私に経営やマーケティングの基礎知識がなければ、「本当にフライホイールモデルでいいのか? この事業特性なら他のモデルが適しているのではないか?」と批判的に疑う視点を持てなかったでしょう。
デザインの説得力に押されて中身を十分に検証せずにいると、人間はAIを「使う側」から「使われる側」になってしまいます。結果、自分自身の価値を発揮できなくなってしまいます。AIという「専門性の高いアドバイザー」の言いなりになるのではありません。AIからの提案を正しく評価し、検証できる知見を、私たちが持たなければならないのです。

余白時間を「インプット」と「一次情報に触れる」時間に充てる

AIの活用によって生まれた「余白時間」をどう使うかが、これからの個人の市場価値を決定づける大きな差になります。私は、この余白時間を知識の「インプット」に充てるべきだと考えています。AIの知識量や処理能力は、人間をはるかに超えています。しかし、そのアウトプットを評価するのは人間です。だからこそ、「本当にそれでいいのか」を判断するための知識をアップデートし続けなければ、アップデートを怠ってしまうとあっという間に置いていかれると思っています。 業務時間中に生まれた余白時間を活用して、毎日30分でも1時間でも「知識」を積み上げていくことが不可欠です。

また、知識の習得と同じくらい重要なのが、一次情報に触れることです。一次情報とは「現地に行かなければわからない情報」です。 具体的には、ネット上の情報を学習するAIには得られない、現場の空気感などです。一次情報を得ることこそが差別化のカギになります。たとえば、学生さんが何を考えているのかを肌で感じるために「plugin lab」へ足を運ぶ。あるいは、企業様との座談会に同席して、オンラインでは伝わらない表情やニュアンスを感じ取る。こうした「身体を通じたインプット」こそが、AIを使いこなすための強力な武器になるのです。

AIを「楽しむ」心を持って進化する

AIを単なる「業務処理ツール」として事務的に捉えるのはもったいないです。対話しながら「もっと面白い使い方はできないか」と試行錯誤することも大切です。あるチームの合宿では、議論の内容をその場でAIにスライド化させました。その結果、1時間後には全員が発表できる状態になったのです。

こうした進化は社内業務にとどまりません。先月、弊社が運営するOfferBoxでも、生成AIを活用して、学生が作成したエントリーシートや履歴書からOfferBoxのプロフィール文を抽出し提案する「スマートプロフィール作成」という新機能を追加しました。(※1)生成AIを用いてゼロから文章を作成したり、AIが創作したりするわけではありません。学生が自身の言葉で書いた文章を変更せずに、OfferBoxのプロフィール項目に合わせて提案する仕組みです。個性を損なうことなく、すでにあるエントリーシートを有効活用することで、単純な入力作業を削減します。学生の皆さんには、プロフィールの改善や企業研究、自己分析といった、より本質的な時間に注力してほしいと考えています。

また、AIを「楽しんで使う」という姿勢も忘れないでほしいと思います。先日、弊社は適性検査と対話AIを活用したOJTツール「コミュセツ」をリリースしました。(※2)このツールの特徴はコミュセツ専用の対話AI「ハロウ」の存在です。「ハロウ」はお互いの特性に基づいた「問いかけ」を作ってくれるので、個別最適な対話が可能になります。ある日、社内のメンバーたちが「ハロウ」を使っているところを目にしました。緊張しているメンバーに対して、「ハロウ」からアドバイスをもらいながら対話していたのです。本来であれば、その場で人間が返答した方が早いはずです。しかし、返答のタイムラグさえも楽しみながらコミュニケーションをとっていたのです。私はこれこそが、未来のAIとの共生像だと感じました。

2026年は、AIを活用して業務を効率化させ、余白の時間は新しい知識を得たり、一次情報に触れる機会を得たりしてほしいと思います。i-plugのミッションである「つながりで、人の可能性があふれる社会をつくる」。これを実現するためにも、まずは私たちがAIという強力なパートナーを使いこなすべきです。そして、個々の可能性を最大限に引き出していく組織を目指したいと思います。AIを当たり前に使いこなしながら、人間だからこそ生み出せる「熱量」や「本質的な価値」をより一層磨いていく。そんな1年にしていきましょう。

※1:HRサービスは、誰かの人生を救える——生成AI機能「スマートプロフィール作成」に込めたプロダクトづくりの信念
※2:適性検査×対話AIでOJTを変える!「コミュセツ by OfferBox」誕生の話