i-plugの代表取締役 CEOの中野さんに、会社のことや大切にしている価値観など、気になるあれこれを質問するシリーズ「中野さん!ちょっと教えてください」。第17弾は、OfferBoxの価格についてです。
現在、OfferBoxには2つの料金プラン(※1)があります。一つは、早期から計画的に採用活動を行うために、採用人数の「枠」を事前に購入する「早期定額型」。もう一つは、採用が決定したタイミングで費用が発生する「成功報酬型」です。なぜ現在の料金体系に行き着いたのか、その背景にある考え方やリリースからの歩みを話してもらいました。
三者が同じ方向を向くための「成功報酬型」へのこだわり
OfferBoxのビジネスを構想していた時から、私は「成功報酬型」というモデルに強いこだわりを持っていました。その理由は、前職で求人広告の営業を通して感じた「掲載課金モデル」に対する違和感からです。
掲載課金モデルは、サービスに関わる三者の「喜びのタイミング」や「何をもって成果とするか」がズレてしまう構造にありました。企業の喜びは「良い人が採用できた時」であり、学生の喜びは「納得できる内定をもらえた時」です。一方で、当時の私のような営業担当は、「受注した瞬間」が成果の指標になっていました。そのため、営業担当としての喜びのピークも「受注」のタイミングにきてしまうのです。もちろんお客様の成功を願って提案はしますが、仕組み上どうしても「売る側のゴール」と「使う側のゴール」が分断されてしまいます。
三者が手を取り合って喜べる仕組みにしなければ、サービスの向上はしないと考えました。こういった考えが、サービスのリリース当初から「成功報酬型」を取り入れた理由です。
サービスの普及と「適正価格」へのプロセス
OfferBoxの価格設定において重視したのは、「標準的なコスト」との整合性でした。
企業が1人あたりにかけている採用コストの分析と、企業へのヒアリングを行いました。その結果、多くの企業が投じているコストと同等、あるいはそれ以下となる「30万円」。リスクなく導入してもらえる金額に設定しました。まだ実績のないOfferBoxを広めるためには、企業にとっての導入障壁を下げる必要があったからです。その後、適性検査を標準搭載するタイミングで、38万円に価格を改定しました。
葛藤の末に決断した「早期定額プラン」の導入
OfferBoxが3期目を迎えた頃、大きな転機がありました。2016年卒の就活スケジュールの変更です。選考解禁日が「4月」から「8月」へと大幅に後ろ倒しになりました。当時、市場には大きな混乱が起きたのです。
表向きの選考時期は遅くなりましたが、「学生に早く会いたい」企業と、「早めに就活に向けて動き出したい」学生のニーズが急増したのです。結果としてインターンシップが普及しました。当社にも企業・学生の双方から「早い時期からOfferBoxを使わせてほしい」という要望が寄せられました。
実は当初、私は早期定額プランの導入に強く反対していました。先に費用をいただく仕組みは、私が理想としていた「成功報酬モデル」の考え方と異なるからです。しかし、混乱する市場のなかで、本気で採用したい企業と早く動きたい学生の双方を支援することこそが、今私たちにできることだと考えました。結果的に多くの感謝の言葉をいただきました。
早期定額プランは「掲載費」ではなく、「先に採用の権利を買ってもらう」という考え方で設計しています。映画の前売り券のようなイメージです。このプランを導入したことで、OfferBoxからの採用決定人数は飛躍的に伸び、結果としてサービス改善のスピードも上がりました。
高速道路のような「インフラ」であり続けるために
今年度、「成功報酬プラン」の価格改定を実施しました。これは物価高騰や社会情勢の変化に対応しつつ、品質を下げずに社会に価値を提供するためのものです。今の時代における「適正な水準」への回帰だと考えています。
私がOfferBoxの理想像として常に描いているのは、高速道路のような公共性の高いインフラです。高速道路は、渋滞を緩和するために料金を改定したり、時間帯によって減額したりすることがあります。それは特定の誰かだけを優遇するためではありません。誰もが安全かつスムーズに目的地にたどり着けるよう、常に「最適」な状態を維持するための工夫です。
OfferBoxも同じです。特定の企業が費用をかけるだけで、採用活動を有利に進められるサービスではありません。誰もが利用できて、適正な料金で提供され、社会全体にとって必要なものとして永続的に存在し続けたいです。そのために、私たちはこれからも時代の変化を見据えながら、「適切な価値を、適切な価格で」提供し続けたいと考えています。
その結果、当社がVision 2030として掲げる「未来を担う若い世代から、もっとも選ばれるプラットフォームになる」の実現につながると信じています。
